日暮れ直後。
真っ暗な山道に立つ。
民家の灯りが見える。
山の稜線の上には、細く尖った三日月。
星もまたたいている。
今朝起きて、まず思い出した風景。
昨日の夕刻に、初めての土地で見た景色。
今となっては夢の中のような。
あれは現実だったのか?
秋のはじめころ、チームメンバーから持ちかけられた話。
11月3日の祝日は木曜。
whooの休日は、主に水曜と木曜。
その日、お店休めるようなら四国にライドに行きません?
と。
もちろん二つ返事でOK
四国へ行くのは2度目。
初めてのときは電車で香川へうどんを食べにいっただけ。
コースはまかせてもらえたものの、全く土地勘の無い僕。
スタート地点が脇町付近ということと、目的地が剣山ということから付近の楽しげな道を繋いで線を引いてみる。
あとは野となれ!
当日、早朝にクルマの相乗りで京都を出発。
高速道路を乗り継ぎ、徳島の脇町インターで下りる。
参加の10名、駐車場に全員集合。
AM 7:00すぎ、ライドスタート。
天気は快晴。
気温は低め。
1,500mを超える山頂では、気温1℃の予報。
まじか!
着るものに悩む。
スタートして1km、いきなりツッピーがパンク。
今日の走行予定距離は100km以上。
このペースでパンクしたら、100回以上パンクすることになるよw
まずは、美馬市のうだつの町並みを観光。
そして沈下橋で吉野川を渡る。
いい雰囲気。
下調べした甲斐あり。
穴吹川沿いの国道を山方面へ走る。
時々旧道に逃げながら。
そして
どこに行ってもすることは一緒ね。
地図ではくねっくねでぎざっぎざのこの道。
延々と続く登り。
この登りがいつ終わるのか、見当もつかないアウェイな感じ、悪くない
一気に登ること1,000m。
ようやく峠に到着。
こんな長い登り、京都にはありませんw
登ったら下る。
これまたくねっくね。
慎重に下ること500m。
そしてまた登り。
登り始めに標識。
この先通行止め。
でも信じない。
通行止まってるところを目にするまでは。
またもグネグネとのぼる。
壮大な景色。
ああ、きもっちいい!
しかしここも長いなー!
登ること8kmで700m、高原に到着。
まずはごはん!
美しい風景を眺めつつ、買い込んできたランチを食べる。
最高!
で、この先が通行止めだという。
みんなで行っても仕方ない。
papa、ツッピー、僕の3人が先遣隊となり、様子を見に行く。
おや、行けちゃう?
と思いつつ、ガレた林道を進む。
ガレた道、路上に転がるでかい岩。
アドベンチャー気分で進むこと数キロ。
OMG!
完全に通行止まってる。
これは無理。
これ以上進めないことを確認したら満足。
うん、これは通行止めです。(そう書いてあったやん!)
次の作戦を立てなきゃ。
今さっき登った道を下って、そこから国道に出るか、、、
いや、たった今Google mapで見つけた、このうっすらとした道が繫がっている(気がする)ぞ!
またまたアドベンチャー気分で下る13km(700m)。
途中で僕のハンドルが重くなる。
ああ、アレね。
わかってますよ。
よし、大きな道に出た。
やはり繫がっていたね!
あとは目的地の剣山まで、18km(1,000m)のヒルクライム!
それぞれのペースで登る、最後の山。
長い、ながいよー!
登るほど、標高が上がるほどに気温は下がり、広葉樹の葉は色づいてくる。
ああ、きれいな道。
でもクルマが多い。
そして登頂!
登ったー!
この時点での走行距離は、たったの85kmほど。
しかし獲得標高はすでに3,000mに達しようかというところ。
バランス、おかしすぎw
で、後から登ってくるメンバーを迎えに、少し戻ってみる。
登り始めでしんどそうだった彼、まだ自転車歴の浅い彼女、大丈夫かなー。
少し心配になりながら戻る僕の前方から、ゆっくり確実に登ってくる彼ら。
それを横でサポートしているメンバー。
ちょっとね、ウルッときました。
泣いてませんよ!
なんと、峠付近の気温は僕のガーミンさんによると -0.4℃。
氷点下っ!
寒いはずだ。
で、登山口の食堂であったかいお味噌汁をいただく。
たまんねー!
さあ、実はここからが試練。
予定時刻を大幅に過ぎているんです。
そう、遅れ。
通行止めやなんやの遠回りで遅くなっちゃってるのね。
もう日も暮れかけ。
ここから長ーい下り坂。
クルマの停めてある駐車場までは45kmほど。
間違いなく、下っている途中で日没、真っ暗になることでしょう。
寒いけど、頑張って下るしかない。
いくぜ!
特に斜度が急でカーブがキツいのは前半。
明るいウチに少しでも先に進んでおこう。
でも慌てちゃだめ!
僕は僕のペースで下る。
後ろのメンバーは少し遅れてる。
でもひとまずは進んでおこう。
と、下るうちにやはり日没。
秋の日はつるべ落とし。
みるみる暗くなる山道。
どうすべきか。
一番走りなれているのは間違いなく僕だ。
グループに入って、一緒に下った方が良いだろう。
との判断で、後続を待つことに。
暗闇の中にぽつんと一本立つ、薄暗い街灯の下でストップ。
真っ暗な山道に立つ。
民家の灯りが見える。
山の稜線の上には、細く尖った三日月。
星もまたたいている。
待つこと数分、後続メンバーのライトの灯り。
次々と。
全員いる。
ほっ。
みんなで固まって走ろう。
車間は詰めすぎないように。
僕が最後尾を走る。
手が冷たい。
というか痛い。
まだしばらくは山道区間。
美しい月は、見えたり山に隠れたり。
つづら折れの区間がようやく終わり、やっと見つけた集落の自販機であったかいコーヒー。
もう少しでゴールかな?
スマホで確認してくれたメンバーの返答は?
あと27km。
まだそんなに。。。
そこからは下り基調の走りやすい道。
相変わらず僕は最後尾。
他のメンバーのテールランプが眩しい。
店を始めた10年前にこんな明るいテールランプはあったかなー?
なんてことを考えながら、良いペースで下っていく。
気温は上がってきたようだけど、相変わらず手は痛い。
星がチラチラと、とてもキレイ。
空が星だらけ。
Wの形の星座を発見。
カシオペア座っぽい。
違うかも。
そして19時。
ついに全員そろって駐車場にゴール。
なんだかわからないけど、笑いが止まらなくなった。
意味も無くみんなで笑った。
そして順番にトイレに行った。
スマホで「帰りが遅い」とお怒りの奥様への対応に忙しい人。
お土産売り場から戻って来ない人。
徳島ラーメンを頼むつもりが、間違えて醤油ラーメンの食券を買ってしまう僕。
帰りの高速のサービスエリアでの夕食も、最高に楽しかった。
家に帰ってからも、参加者のグループチャットはしばらく続くのでした。