京都のThe☆whooというチームにpapaという男がおりました。
4月15日の日曜日、papaは岐阜県にある伊吹山の麓にいました。
伊吹山ヒルクライムに挑戦するためです。
スタートして8kmほど登った頃でしょうか、papaは後輪に違和感を感じました。
「ん?なんか滑る感じがするぞ。」
しばらくするとゴリゴリした感じが伝わってきます。
「あー、パンクしたかー・・・。」
チューブラーの替えタイヤは当然持ってませんので、papaは途方に暮れました。
「とりあえず係員のいるところまでなんとか登ろう。」
50mも登ると係員の若者がいるところに着きました。パンクで修理もできないのでDNFしたい旨を伝え、ぼーっと休憩して回収車を待つことにしました。
回収車は最後尾なので1時間ぐらいかかるらしいです。10分もするとpapaは暇を持て余し始めました。
若者とおしゃべりでもしようとpapaは考えました。
「学生さん?」
大学生のバイトのようです。
「何かスポーツやってんの?」
近くの大学の自転車競技部で、ケイリンをやっているとのことでした。ロードは”でろーざ”に乗っているようです。
「バイト代はいくら?」
聞いてはいけないことのような気もしましたが、つい暇なので口に出してしまいました。日当 XXXXX円でした。正直、高いのか安いのかわからないので、papaは微妙な笑顔で微笑むだけでした。
この間に、papaを休憩している人と勘違いして、ちょっと休憩していく人がたくさん現れたのには笑ってしまいました。おそらくpapaがいなかったら、がんばって休憩せずに登っていったでしょう。papaはちょっとだけ申し訳なく思いました。
そうこうするうちに時間がたって最後尾の選手が通って行きました。
その後から黄色い車がやって来ました。そうです、ロードレースで選手の後ろについているマヴィックカーです。ああ、これに乗っていけるのかなぁと、ちょっと安心したのもつかの間、まさかの言葉をかけられたのです。
「シマノですか?」
?????
「いえ、カンパです。」
「11速?」
「はい、そうです。」
というやりとりをしていると、黄色い人たちが後輪ををてきぱきと交換し始めたではないですか。
「ここから再度スタートしろってことですね。鬼かお前らは!」と心のなかでpapaは叫びました。
papaは人生初のお尻を押されて加速するという経験をしました。プロ選手のようです。
もうヤケクソで全力で走ります。下山の人の群れでざわめきが起きました。なんだこいつは?という感じだったので、papaは恥ずかしくって、一生懸命ダンシングで加速しようと頑張りましたが、残り500mで脚が終わってしまい、最後はだらだらとゴールしてしまいました。
ゴール地点でしばらく待っていると、papaの前にさっきの黄色い人が現れました。
「あなたのホイールは金のBOMAですか?それとも銀のBOMAですか?」
目の前に金色のハブ&スポークのBOMAと銀色のBOMAを持っています。
あぁ、やっぱりこの人は神様だったのだ、とぼーっとした意識の中でpapaは思いました。
「金色のBOMAです。」
この答えは間違っていたのでしょうか、神様はマヴィックホイールと引換にpapaに金色のBOMAと試練を与えました。ゴール地点から駐車場まで2kmを歩いて帰れという試練です。泣きそうになりながら、とぼとぼとpapaはみんなが待つゴール地点まで歩きました。
「神様の意地悪・・・」
「いえ、私のBOMAは鉄のBOMAです」と神様にボケをかますのが正解だったのかなぁと、あとからpapaはたいそう悔しく思いましたとさ。
めでたし、めでたし。