[by 居留守☆王子]
昔、人生の道に迷った一人の美女がいた。その美女は自分の行く道を尋ねるため、北の神に会いに行った。そして、北の神に尋ねた「私は、これからどぅ進めばよいか?」その美女を一目見て恋に落ちた北の神は、こぅ答えた「一晩、私に付き合ってくれたら教えよう。」 冗談じゃない!美女はそう言って、その場を去った。次に美女は南の神に会った。しかし返ってきた答えは同じだった。「一晩、私に付き合ってくれたら教えよう。」 西の神も東の神も同じ答えだった。どの神も美女に恋せずにはいられなかった。
「ずいぶんと失礼な神様ね。」薄暗いバーのカウンターでそれまで黙っていた彼女が口を開いた。「私なら自分の進む道ぐらい自分で決めるわ。」そう言う彼女を見て私は、今日の出来事を思い出した。
朝7:00に家を出て京見峠 持越峠 雲ヶ畑 クリーンセンターの前を通って花背峠を越え、下りきった所で一回目の休憩をとる。いつもならば必要以上の休憩とウィットに富んだトーク(完全な独り言)を挿みながら走るのだが、今日の私は少しばかり様子が違った。そしてサンダイコーまで走って牛乳を一気飲みし、栗尾峠。少し脚に余裕が有った私は杉坂で休憩をはさんでもぅ一度 持越峠 雲ヶ畑 ここで反対側から走って来たドラゴンさんと挨拶を交わし、クリーンセンターの前を通る。ここで私は迷いはじめた。再度、花背峠を登るかどぅか。走りながら迷っていると頭の中で、昔見たある映画のポスターに書かれていた一言が思い浮かんだ。「戦って死ね!」
「私、そろそろ帰るわね。」そう言って彼女は立ち上がった。「終電なの。11時30分までにこの店を出ないと間に合わないのよ。」私はブランデーの入ったグラスを見つめていた。「そうそう、神様に道を尋ねた美女は、その後どうなったの?」彼女は訊いてきた。「神様に頼らずに自分の道を見つけたよ。」と、私は答えた。「あら!一体どうやって?」彼女の声はどこか嬉そうだった。私はグラスに残ったブランデーを一気に飲み干し、空になったグラスを彼女のほうに向けて言った。
「一晩、私に付き合ってくれたら教えよう。」
時刻は11時29分。
真夜中へ もぅ一歩。
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