[by 居留守☆王子] 2010/10/3
寒い冬の日の夜だった。私は2人の友人と街の片隅で何をするわけでもなく、ただ下らない話をしていた。暖かい缶コーヒーと煙草を手に話し込んでいたあの日、私は闘うことの大切さを友人に教えられた。もう何年も前の話だ。その日、友人は私にこう言った。
「勝ち負けは、それほど重要じゃあない。」
9月20日。私は秋リッツ(C3L)に参戦していた。前のほうからスタートしたにもかかわらずズルズルと順位を下げ、菱形になった集団のケツのほうを走る。今回の私の目標は「けいはんな」よりも上位に入ること、つまり19位より上に入ることだ。リッツ初参戦の私は集団に必死について行きながらコーナーリングの感触を確かめながら走っていた。ラスト2周。そろそろ動かなければいけない。しかしあまり動けずに最終周をむかえる。脚はまだ回る。バックストレート?で、グッと踏んで前を走っていたプリ氏に近づく。なんとなく、そう悪くない位置にいるような気がした。このまま綺麗に最終コーナーを曲がれば「けいはんな」より上位に行くかもしれない。そう思いながら最終コーナーに突っ込んでいった。 完璧だった。下手糞なりに上手く曲がれたような気がした。最後のストレート。「ここで決まるぞ!」そう思うと気合が入った。コーナーの立ち上がり右前方で落車が発生した。瞬時にアウトに流れていく落車だと思った。だが、私の右にいた選手が私の前に倒れてきた。気がついた時には私は倒れていた。「後ろから自転車が来る!」はっとして私は立ち上がった。しかし自転車は我々を避けて走り抜けて行った。ホッとして周りを見渡す。骨をやったのか起き上がれない人がいる。自転車を押して走っている人を見て、自分もゴールしなければと思い足元にある自転車を起こそうとしたが自分の自転車ではなかった。私から少し離れたところに自転車が転がっていた。チェーンが外れていた。簡単に直せると思ったが無理だった。私は諦めて自転車を押して歩いてゴールした。
「勝ち負けは、それほど重要じゃあない。」私は友人の言葉を思い出していた。
寒い冬の日の夜だった。私は2人の友人と街の片隅で何をするわけでもなく、ただ下らない話をしていた。そのうち2人の友人がちょっとした言い合いになった。レンタルビデオ店でバイトをしていた友人Aは友人Bにこう言った。
「お前が今までに借りたビデオを調べてやる!お前が今までに借りたエロビデの履歴をだ!」
ファック オフ!私は今までにこれ以上に恐ろしい脅し文句を聞いたことがない。「グァンタナモ収容所だってこんなことはしない!」正直、私はブルった。私は友人Bに、なんか知らんけどはよう謝っといたほうがえぇで!っと、忠告しようと友人Bのほうを見た。だが、友人Bの目は死んではいなかった。誰が見ても勝ち目の無い戦いだったが、彼の目は闘うソレだった。そして彼はこう言い放った。
「お前に調べられる前に自分から言ってやる・・・。俺は家庭教師モノを頻繁に借りている!」
ジーザス!なんてこった!てっきり胸とか脚とかパーツ系でくるかと思いきやストーリー重視できやがった!誰が見ても友人Bの完全勝利だった。太秦映画村に観光に行く外人を捕まえて「そんなトコにはおらんで!サムライやったらここにおるで!」そう教えてあげたいほど彼は格好良かった。彼は私にこう言った。
「勝ち負けは、それほど重要じゃあない。大切なのは負ける事に慣れてしまわないことさ。」
とても寒い冬の夜だった。自分が見ているのは空なのか宇宙なのか分からないほど深い漆黒の空の下で私は彼に訊いた。
「教えるほう?」
「さぁ、闘おう! 権利のために! ただし、遊ぶため!」
Beastie Boys―fight for your right
深い話ですね。
投稿情報: ミカ姐 | 2010/10/04 10:40
なれちゃった。えへ。
投稿情報: ぷり | 2010/10/04 21:23
「足元にある自転車を起こそうとしたが自分の自転車ではなかった。」ってのが生々しすぎて、事件の凄惨さを物語っています。ぞっ
投稿情報: グラム | 2010/10/04 23:09
>ミカ姐さん
浅いです。浅瀬の話しを仰々しく書いてます。ただ、教えるほう?って訊いた僕に友人はこう答えました。
「教わりつつ教えたい。」
僕の心のレバーがっつり「深イ~イ」。
>プリさん
僕なんか慣れ親しんでます。
あだ名で呼び合っちゃうぐらい。
投稿情報: 居留守☆王子 | 2010/10/05 20:46
>グラムさん
リッツに行く途中で渋滞に捕まったんですが、隣りの車線に停まっていた車を運転していた「パンチパーマ」みたいな髪型をしたマダムは、窓全開なのに「親指」で鼻糞をほじってました。
こっちの凄惨さに比べたら・・・・。ゾッ。
投稿情報: 居留守☆王子 | 2010/10/05 21:00