[by ジョージ] 2014.10.10
9時40分を少し回った今、場所は大迫ダムのエイド。
関門となる次の峠、「行者還トンネル」の
11時半通過を考えると
ホントはあと30分ほど早くここに来たかった。
去年のロングコースでの経験から、
あの長い「行者還」の峠を自分の脚力で
余裕をもって走るには、10時頃には上り始めたいと
思っていたからだ。
でも、どう考えても今から10時到着はムリ。
それもこの直前の「足の郷」の上りのせい。
ホントにツラかったし、想像以上にエグかった。
グランフォンド吉野のスーパーロングに
今回初めてエントリーしてからは、
上りを中心としたロングを
自分なりに走りこんできたつもりであり、
去年よりちょっとは上れるようになったと思っていた。
そして今回はチームメンバーはみんな都合がつかず、
一人っきりでの参加。
心細いが自分の力を試す良い機会だとも考えていた。
でもそんな思いは足の郷の上りで消えてしまった。
序盤からインナーでクルクル回して一定ペースで上る。
しばらく続くキツイ上りをダンシングでしのぎ、
左ヘアピンを超えるといったん斜度が緩くなる。
ここで愚かにも「これくらいなら大丈夫、イケル」と
思ってしまった。
でも本当のエグさはここからだった。
前半より斜度は緩むもとにかく長い。
いくら上っても上っても、まだまだ道が続いている。
8時頃から上り始めて
既に30分以上もがき続けているが全然先が見えない。
次第に足が攣り始め、ダンシングで体を支える腕も
ダルくなり極端に速度が落ちる。
そんなノロノロオヤジをみんな軽やかに
パスしていく。
そして後ろからひと際大きな声が近付いてくる。
なんだか楽しそうな話声。その声の主は三船プロ。
こんな激坂を話しながら上れるなんて・・・
同じ人間とは思えへん。
アカン・・・。
こんなんエントリーしいひんかったら良かった・・・。
ここは自分が走ってはイケナイところやった。
もう棄権したい・・・。絶対ムリや・・・。
そう思いながらその後も、
汗なのか涙なのか
ヨダレなのかよう分からん、
体中の汁という汁を全て顔面に吹き出しながら
さらに30分以上もがき続け、漸くの頂上。
時間は9時をすでに回っている。
体力の9割方をここで使ってしまった気分。
それでもとにかく慎重に下り終え、
台風の影響か逆風の風雨の中、
上り基調の川沿いの大通りを走り大迫ダムへ到着。
幸いここには結構な人が休憩中で、
時間的に自分が極端に遅いというわけではなさそう、と判断。
ホントはゆっくり休憩したいところだが、
自分にそんな余裕はない、と
おにぎりを頬張ってすぐに出発。
延々と続くいくつもの長いトンネルとループ橋の上り。
淡々と回し続けてようやく辿り着いた「行者還」への上り口。
時間は10時半を回っている。
もうアカン。絶望的や。
このデガラシの脚力で
残り1時間以内での登頂は絶対アリエヘン。
そう思いながらも、
とりあえずダメ元で行くしかない。
去年の経験から、
前半はキツイが左ヘアピン後の後半は
斜度も緩かったはず。
あの左ヘアピンに11時頃に着ければ
もしかするかも・・・。
前半はなんとかダンシングでしのぎ、
ひたすらあのヘアピンを目指す。
途中、「よしココや」と思う
左カーブを過ぎるが全然違っており、
がっかりすること5〜6回。
時間はすでに11時を回っている。
アカン、もう無理やわと思う中、
ようやく見えたお目当ての左ヘアピン。
時間は11時10分。あと残り20分。
ヨシ、まだイケル!とギヤを重くするも
一気に足攣り祭りが始まる。
軽いギヤで回すが
全然速度が上がらない。
去年は緩く思えた斜度が今年は全然キツく、
気持は焦るが体がついてこない。
ちょっとしたコブのような上りでも足が攣る。
そんな自分をスイスイと多くの人がパスしていく。
トンネルはまだか・・・
トンネルはまだか・・・と
もがき続けること10分以上。
まだまだ道しか見えない。
残りあと5分。まだ見えない。
4分、3分・・・まだ・・・。
もうアカン、終わった・・・。
あきらめかけた時に、ふと、
チームのみんなの事が脳裏に浮かぶ。
「SL頑張って!」と声を掛けてくれたメンバー。
今日のためのロング練に付き合ってくれたメンバー。
そして快く送り出してくれたカミさん。
もしここであきらめたら、彼らに顔向けが出来ない。
それにもし今年ダメやったら、
また来年、あの「足の郷」を上らなアカン羽目に。
それだけは絶対避けたい!
とりあえず最後までやらなアカン!
いつやるの?今でしょっ!
と気持ちを入れ直しさらに回し続ける。
そうしてようやく見えた待望のトンネル。
そしてトンネルの奥、数十メートル前方に
先を走る1台のバイクのバックライト、
そしてそのはるか向こうに見える
関門となる小さな明りを目指し、
一気にスピードアップ。
時間的には、もうダメかも・・・。
そう思うが走るしかない・・・。
先を走る1台が関門に到着するのが見える。
スタッフの方がその人に大きくセーフのジェスチャー。
そして数秒後に自分も到着。
「セーフです!」とスタッフの方の声。
あ〜、間に合った。良かった。
あきらめんでほんまに良かった。
そして下りに備えて
ウィンドブレーカーを着ていると
後続の方が到着。
でもその方は「タイムアウトです」と
無情の声を聞くことに。
自分はギリギリのビリで
関門通過したのでした。
その後は慎重にウェットな下りをこなし、
天川のエイドで関門突破の安堵感から
ちょっと長めの休憩。
でもこの時点では、
再び時間との激しい闘いが待っていようとは
思ってもみなかったのです。
そしてここからは途中、最後尾の伴走スタッフの方と
一緒になりながら次の野迫川エイドへ。
ここで食べた芋餅?がめっちゃウマカッタ。
ほんとはもっと食べたかったが、
最後尾集団の分際でゆっくりは出来ないので
先を急ぎます。
時間は14時前。
自分の記憶では、このあとはほとんど下りのハズ?
だったので最後の関門「黒駒」には
15時には着いて楽勝で完走イケルだろう
と思っていたのですが、
これが大きな間違い。
途中結構ダラダラと上ったりで
全然ペースが上がらない。
ようやく富貴の集落からの長い下りを終えて、
黒駒に到着したのが15時20分。
ここからゴールまでは20kmちょっと。
普通に行けば問題ななさそうですが、
ここからは去年同様チョー向かい風。
16時半締め切りのゴールには
ヒジョーにビミョーな残り時間。
黒駒で最後の補給を済ませ、
出発するときに
「ave24km/hで行かな間に合わへんよ!」と言われ、
マジ?と思いながら少々焦る。
向かい風の中、疲れているにも関わらず
意外と足が回る。
なんとか25〜30km/hの速度を
維持しながらひたすらゴールを目指し、
そして考えます。
残りの脚力を考えると、
16時にはなんとか
最後の上り口に到着したい。
そうすれば最後の激坂を
ゆっくり無理せずイケルハズ。
ここまで来たら絶対完走したい!
絶対あきらめらたくない!
もう二度と足の郷は上りたくない!
途中何名かをパスし、
回し続けること約50分。時間は16時10分。
ようやくスタッフの方がいる上り口への右折ポイントへ。
予定より10分遅れ。あと残り20分。
まずは山道の上りを軽いギヤでクルクルと。
ほんとは重いギヤで行きたいところですが
もう足が限界。負荷をかけるとすぐに攣ります。
なんとか耐えて大きい道に抜けたのが16時18分。
ここからはほとんど気力だけで上る感じ。
いくつかの緩い上りを終え、
直線的な上りの途中、前の方で誰かを激励する
スタッフの方の声が聞こえます。
きっと最後の激坂を上る
先行の人を応援しているのでしょう。
そうして次は自分の番。
最後の激坂に突入。もう足が回らん。
でもスタッフの方の旗を振りながらの応援を
もらってなんとか踏ん張る。
そして時計を確認。16時23分。
ヨシ、イケる!
あとは死に物狂いで最後の直線を激走。
前方にゴール周辺で拍手するスタッフの方々が見えます。
そしてその拍手の音が大きく聞こえます。
そしてようやくのゴール・・・。
多くの方の拍手と、そして完走証をいただき、
最後は大会委員長さんとの熱い抱擁(笑)。
あ〜長かった、ツラカッた、しんどかった・・・。
とにかくあきらめなくて良かった・・・。
正直、もう2度と出たくない・・・。
数年前にチームの王子くん、そしてpapaさんが
SL完走したと聞いて、
正直自分には無縁の話で絶対無理、
と思ってました。
それだけに、ほとんどビリでの完走でしたが、
自分にとっては
とっても大きな目標だっただけに
とりあえず良かったです。
最後に、雨で寒い中、
峠の下りで注意を喚起して下さった
スタッフの方々、各エイドで接してくださった方々、
そしてこの大会を運営してくださったスタッフの方々に
頭が下がる思いです。
ありがとうございました。
てことで、来年は是非みんなで出ましょう。
私は遠慮しておきますが・・・。
ん、27Tを投入すればちょっとはラクかな?
イヤ、あかんあかん。
完走お疲れ様でした!
こんなドラマがあったとは。さすがジョージさんです。
さあ来年も行きますよ(笑)
投稿情報: papa | 2014/10/10 13:33
papaさん、アリガトーゴザイマス。恥ずかしながら、ずっと半泣き状態でしたよ。来年みんなと一緒なら楽しいかも、ってあかんって。
投稿情報: ジョージ | 2014/10/10 22:19