[by 居留守☆王子]
今年に入って彼女に会うのはコレが二度目だった。前に会ったのは確か3ヶ月前だ。朝から夕方ぐらいまで、彼女と一緒に過ごした時間はとても楽しく、時間はあっという間に過ぎてしまった。久しぶりの対面に少しばかりの不安が無いわけでもなかった。なぜなら彼女の相手はタフでなければ務まらないからだ。私も子供じゃあない。カボチャが馬車になる なんて話を信じる年頃はとうに過ぎた。だいの大人が少し会って、ちょこっとお話をしてバイバイなんてことは有り得ない。私が欲したのはもっとハードでアツイやつだ。前日に私は元気の出る飲み物や食べ物を買っておいた。準備は万端だった。オーケィ!紹介しよう 彼女の名前は「びわ子」
私は小関越えを通って彼女との待ち合わせ場所である浜大津へと向かった。そしてそこから近江大橋を渡り、その後はひたすら北上する。湖岸道路を走っていると時々、風に乗ってやってくる彼女の匂いが鼻をくすぐる。それはまるでバーベキュウでもしているかのような肉食的な匂いだった。守山 彦根 長浜を通り過ぎ11時頃、私は唯一の山岳である奥琵琶湖パークウェイをなんとか登りきり売店がある展望台で彼女の写真を撮った。木々の茂みの奥で静かにポーズをとる彼女はとても綺麗だった。そして撮影会が終わると私は浜大津に向かって走り始めた。浜大津に着いてしまえば彼女とももうお別れだ。次にいつ会えるかはわからない。そのせいか奥琵琶湖からの彼女は想像以上に暑かった。私は何度も心の中で叫んだ「駄目だ!夏のびわ子は、駄目だぁ!」考えられない金額を自動販売機に突っ込み、水を買っては頭からかぶる。本当に死ぬんじゃないかと思うぐらいびわ子は激しく熱かった。死ぬような思いをしながらもなんとか浜大津に着いた私は彼女に別れを告げ小関越えをして将軍塚から五条に抜けて家に向かう。家に着いたところで230キロ。しかし問題は距離でも暑さでもなく、ヘロヘロになりながらも(また来年。)と思ってしまう彼女の魅力だ。君も一度、会ってみるといい。彼女はいつだってソコで誰かがやってくるのを待っている。